このショップについて

このサイトは,アーティストの Goh Uozumi が運営するオンラインショップです.彼の作品を,ビットコインなどの暗号通貨で販売しています.また,アート&暗号通貨にまつわる様々な実験を展開する場としても機能させたいと考えています.
Goh Uozumi は,十年にわたり様々な作品をミュージアムや国際賞などで発表しているアーティストで,先進的なコンセプトを発信してきました.
彼は2014年より,芸術のコンセプトとして暗号通貨に焦点をあてた作品を発表しており,その活動の一環としてこのサイトを立ち上げました.
このショップでは,実際にミュージアムなどで展示された彼の作品や,これから制作される暗号通貨に特化した作品などを販売します.

すべての作品は,基本的に日本からあなたな住む地域へ発送されます.また現在,以下の暗号通貨でお支払いいただけます.(対応している国外の発送先については‘International Shipping’を,お支払いについては‘Payment & Shipping Process’ページをご覧ください.)

Bitcoin, Litecoin, Bitcoin Cash, BitBean, BlackCoin, Breakout, Byteball, CloakCoin, Crown, CureCoin, Dash, Decred, DigiByte, Dogecoin, eBoost, Ether Classic, Ethereum, Expanse, Goldcoin, Gridcoin, Groestlcoin, Komodo, LISK, MonetaryUnit, NAV Coin, NEO, Nexus, Omni, PinkCoin, PIVX, PotCoin, Peercoin, Qtum, RevolutionVR, Ripple, Stratis, Syscoin, TetherUSD, Vertcoin, Waves, Counterparty, NEM, Monero, VERGE, ZCoin, ZCash, ZenCash

後述する特殊な背景のため,このショップでは意図的に低い価格設定で,取り扱いやすい作品の販売から開始します.しかし心配しないでください,たとえ芸術作品としての価格が低くても,すべての作品は複製ではなく,アーティスト自らがつくるオリジナルの個数限定作品で,品質は高く,アーカイヴを想定したミュージアム・グレードの素材が使われています.

当然のことながら,作品をご購入いただいた後はあなたの自由です.資産として長期間保存したり,お部屋やオフィスに飾ったり,誰かへのギフトにしてもいいと思います.極端な話,たとえあなたがプリント作品を壁にピンで直にとめて,プリントがあなたの日常生活とともに褪色していったとしても,それはアートの重要な価値のひとつのはずです.
アートがあなたと共にあれば嬉しいです.

(6月24日追記:現時点では法定通貨の経済に依存しているため,ビットコインの価格変動対して商品価格を適度に調整しています.作品本体のリファレンス価格は固定にして,オプションの部分での調整になり,今年中であればどの時期にご購入されても対法定通貨の価格帯は同じになっています.しかし調整幅にも限界があり,近日の下落から示唆される今後の動向に対応できなくなる可能性があります.たとえば1BTCが5000USD前半に入ったら一時閉店し,浮上後に再開いたします.)

Background

Gohは様々な方法で暗号通貨をアートのライフサイクルに取り込む試みを続けてきました.その中でも,暗号通貨技術の思想や文化をクリティカルに扱って作品として確立させることはそう難しくはなく,実際にこれまでいくつかの公的な成果をミュージアムやアワードで上げてきました.しかし,意外に思うでしょうが,現実的に困難だったことは極普通であるはずの「暗号通貨で作品を販売する」ことでした.
もちろん,円やドルといった法定通貨建てでの売買で,暗号通貨を単なる支払い経路として使うことは簡単です(円建ての商品をポイントや電子マネーで買うことと同じように).しかし暗号通貨建てとなると,話は別です.

今のところ,暗号通貨建てでアート作品を販売することはリスクが高いです.まず初めに,私達はまだ法定通貨の経済に依存した時代に生きています.生活や制作に必要なものを暗号通貨だけで揃えることはできません.そしてほとんどの人は,法定通貨での価格の換算を通して暗号通貨の価値を意識しています.
上記を前提とした一例をあげましょう.基本的にも慣習的にも,多くの場合,アート作品は付けた価格を下げることは望ましくありません.それは,アーティストが作品に1BTCと値付けをしたら,その後のビットコインの対法貨での価格変動にかかわらず表記を下げることが難しい,ということです.ビットコイン建てで販売し,ビットコインが一年のうちに数倍に価格が高騰したなら,それとは無関係なはずの作品の価格まで高騰したような錯覚をつくりだしていまいます.高騰したのはビットコインであって作品ではないはずです.(残念ながら,この特性を利用する詐欺師が近いうちに現れるでしょう.このスキームでは,詐欺師は何の価値もないアーティストの作品を容易に高値で売り捌くことができます.しかしそれらが歴史に残ることはなく,価格もいずれ暴落するでしょう.そうなった時,アーティストもそれを信じていた人たちも,仮に知識が足りないだけで悪意のなかったとしても,アートの世界での信頼を失うことになります.アートはもはや,これまで以上にコントロールの効かないPump&Dumpの世界になるかもしれません.そのメカニズムは強力で,飲み込まれてしまえば,逃れることは困難でしょう.)
もちろん,それとは逆に,ビットコインの価格が暴落するリスクもあり,アーティストはそれを引き受けなければなりません(いま多くの人が意識するのはこちらだと思います).アーティストは素材やその他の制作費を支払えなくなり,キャッシュフローは破綻するでしょう.

この文脈において,彼がもっとも懸念していたのは前者の方です.そのため彼は暗号通貨の価格の高騰よりも安定を求めていましたが,近いうちにそれが実現する可能性は低く,あるいはずっと実現しないことかもしれません.

彼はしばらくの間,このシンプルな問題について考えてきました.恐らく,エレガントな解もシンプルに「暗号通貨で自立した経済圏を築くこと」の他にないのかもしれません.そしてそのためには,誰かがいつか,アートの世界でそれをやらなければなりません.たとえ暗号通貨が人間の歴史の中で凋落するかもしれなくても.
このショップは,そういった考えをもとにしています.

また,ここで「扱いやすい作品」というときには,もう一つ特殊な背景があります.
Gohは基本的にソロの活動を好み,作品のスケールは大きくなりがちで,複雑で動的なシステムばかりをつくってきました.そのため,彼のほとんどの作品は販売することが困難でした.現在,多様なソフトウェアやコンピュータやロボットなどの混合システムをアート作品として販売する方法は確立されておらず,市場もありません(動くものは壊れやいためメンテンナンスは必須で,作家が亡くなった後の修復などのほとんどの問題は解決していないままです).
現代の制度や技術では,新しいメディアを使った作品は,再現を前提として長期間保存することが困難です.もしあなたがそういった作品を高額で買ったとしても,近い将来には動かないガラクタになるでしょう.(実際に,既に古典メディアともいえるビデオアートの作品でさえ,破損したまま修復されずに美術館に保存されています.)

これは彼だけではなく,同時代に生きるあらゆるアーティスト達が抱える深刻な問題です.そのため,彼は非営利で公益目的のプロジェクトの「Whole Museums」を立ち上げ,新しい市場形成に不可欠な上述の保存や継承問題を解決するシステムなどの開発を,持続可能にするための仕組みを,暗号通貨技術を応用してつくっています.端的に言えば,それは「ブロックチェーン技術などを用いた,文化財を管理するための次世代のミュージアム・プロトコル」です.
このショップの利益は,主にそのプロジェクトの開発と,彼の新しい作品の制作費に充てられます.

芸術作品を購入することにはいくつもの意味があります. たとえば,シンプルに物を集めることで人生を満たしたり,作品と共に芸術史をつくることに参加したり.
このショップの場合は,アート&暗号通貨のプロジェクトを促進するアーティストに投資することも意味するでしょう.

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アーティストについて

Goh Uozumiは,アートによる歴史的なパラダイムシフトへの介入をミッションとして,人間以外の知性や存在を視野に入れたアルゴリズムベースの方法論による,時代を超えた独自の批評性をもつ作品をつくっています.そのコンセプトは,アートとテクノロジーや社会システムの動向を貫く核心的なもので,例えば暗号通貨監視社会自律分散ネットワークシステム新しい造形理論などがあります.これまで主に,YCAMやICC,メディア芸術祭などの主要なMediaArt機関で作品を発表しています.また,ブロックチェーンなどを組み込んだ次世代のミュージアムの技術基盤をつくる「Whole Museums」を立ち上げ,研究開発を行っています.

彼は2014年以来,活動の焦点を暗号通貨(仮想通貨のこと)に当て,「TRUSTLESS」と呼ぶコンセプトをもとにした作品やプロジェクトを展開しています.その主な作品は、新しい社会秩序の起源としての暗号通貨の存在を可視化する「New Order/Siren Call?」や,人工知能が自律的に国家をつくる「空の国家 – State of Empty」(両作とも2016年,ICC),そして両作の起点となった,未来の人工システムの記憶を呼び出す「Trustless Trust / Mk.God」2015年、InstitutFrancais / Zinc / SecondNature)などです.

New Order / Siren Call? , 2016
空の国家 -State of Empty , 2016

Trustless Trust / Mk.God , 2015

彼のそれらの作品は,「TRUSTLESS」を芸術のコンセプトとして確立させるためにつくられました.TRUSTLESS は,信頼を技術的にアルゴリズムに委託することを意味し,ビットコインなどの暗号通貨のコミュニティでしばしば使われる“Trustless”という語をもとにしています.信頼とは,今世紀まで人間が独占的に運用してきた自然の性質の一種です.しかし今日の人間の文明は,知性や契約,労働や信頼などの自動化を推し進めています.そういった文明の動向を踏まえて,彼は「TRUSTLESS はあらゆる自動化ムーヴメントを貫く軸となる」という思想を唱えています.
彼の TRUSTLESS やアート&暗号通貨の考えについては,「現代思想 2017年2月号 特集=ビットコインとブロックチェーンの思想」に書かれていますので,ぜひ読んでみてください.

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上記のような活動の背景には,彼が暗号通貨を知る以前から開発して発表していた,「自律分散ネットワーク」の思想や作品があります.その最たるものは,2012年にアジアで最大のMediaArt機関のYCAM(山口情報芸術センター)で開催された個展の「OBSERVER N」でしょう.もともとは2008年につくられた作品でしたが,2011年の東日本大震災と原発事故で露呈した中央集権的なシステムの限界を再考することを意図して,ガバナンスや人間観の新しいパラダイムを示すものとして再制作されました.

アーティストで「自律分散ネットワーク」をコンセプトとして扱う者は,いまだに稀です.それどころか暗号通貨が有名になるまでは,それを理解しようとする人でさえアートの世界では稀でした.彼は近年の活動と合わせて,このコンセプトがアートや思想として,適切に議論されるように,社会的な地位を向上させることを目指して活動しています.

OBSERVER N , 2016